2016
05.11

単位面積当たりで作物単位の原価、利益を把握する

脱サラして有機農で起業

 

前回、単位面積当たりで作物単位の原価、利益を把握することの目的は、”目標”を決めるためだとまとめました。この点を書籍『農で起業』より引用しました。著者である杉山さんは元外資系サラリーマンから農業に転身された経歴を持ち、分析と数字を読むことに長けています。杉山さんはデータ管理について次のように説明しています。

 

収益を上げる仕組みを理解するためには、自分がどの作物でどれだけの利益を上げ、どれだけ労働時間を費やしているのかを確認し、分析する必要がある。

 

そのとおりだと思います。

こうしたことを目的として農業データを管理するため、私が試作として作ったツールと方法を説明したいと思います。

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農業データ管理ツール

作業要素の抽出

ツールはEXCELを使って作物単位で作成中ですが、ここでは白菜のデータを使い説明したいと思います。

まず白菜の生産工程から作業要素を抽出します。白菜は種蒔きから袋詰めして出荷するまで次のような11の工程に分けられますので、それぞれ材料費と労務費に分けて算出していきます。簡単に工程の説明もしましょう。

 

  1. 種蒔き:育苗箱に培土を敷き詰めて種を蒔きます。
  2. 耕耘:トラクターで耕耘します。
  3. 施肥:肥料を施肥します。
  4. 基準線引き:種蒔きのための基準となる線を引きます。
  5. 畝上げ:トラクターで畝上げします。
  6. 白菜定植用基準線引き:畝上げ後に苗定植用の基準線を引きます。
  7. 定植:苗を定植します。
  8. 防除:白菜を虫から防除をします。
  9. 草取り:畑の草取りをします。
  10. 収穫:白菜の収穫をします。
  11. 袋詰め:収穫後の袋詰めをします。

 

すべてを説明すると大変ですので、種蒔きと耕運、基準線について内容を説明したいと思います。

 

労務費

以前農家の労務単価について、所得から算出すると『2560円/h』。利益から算出すると『1280円/h』になると算出しました。

ここでは細かく労務費を算出したいので、利益から算出した数字『1280円/h』を採用することにして、合計に経費を20%上乗せして使います。

 

株間、畝間

生協出荷では白菜の畝間を60cmでとり、株間を40cmでとります。間隔を決めると畑1反(900m2)での定植数が決まってきます。正方形の土地なら4000株を定植する事ができます。そうすると必要な種の数が4000粒ということになりますね。

 

種代

白菜の種は品種によっても異なりますが、概ね5000粒で10000円になります。ということは、1粒2円です。

必要な粒数は4000粒ですが、種には発芽率があり全てが発芽するわけではありません。ここでは一番厳しい発芽率70%を設定します。発芽率から必要粒数を算出すると、約5700粒になります。

そうすると、種代は約12000かかることが分かります。

 

種蒔き作業時間

育苗箱への種蒔き作業工程は、まず育苗箱へ紙ポッドを設置して培土を投入して均します。そこに種を蒔き散水後に新聞紙をかけてさらに散水します。

この作業工程の時間を計測すると、1時間当たり10箱作業できます。

白菜には128個種を蒔ける紙ポッドを使います。ということは、必要な苗箱数は45箱になり、作業時間は約5時間となるわけです。

ここに労務費『1280円/h』をかけると、種蒔き作業費が約6000円と算出できます。

 

耕耘

トラクターでの耕耘作業時間の目安は1時間で約1反(900m2)になります。トラクターの運転速度は決まっていますので、ある程度トラクター運転に慣れれば誰でもこの作業時間が目安となります。

種蒔きまで4回は耕耘の必要がありますので、労務費『1280円/h』×4回=約4800円が耕耘費となります。

 

基準線引き

基準線引きは、畝間、株間の基準となる線を畑に示すために行います。この作業は二人で行います。今までの経験から、1反(900m2)を施工するためには、約1.3hを要します。

労務費『1280円/h』×2人×1.3となり、約3300円となります。

 

農業データ管理ツールの画面

ツールの画面はこんなイメージになります。根拠シートにデータを投入すると自動計算して集計表にデータが反映されるようにしてあります。ツールは随時見直していき操作性や精度を上げていきたいと思います。

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まとめ

このように作業要素単位でデータを算出していくと1反当たりの数字を簡単に算出することができます。

ここから判断の”ものさし”となる基準をだしていくわけですね。例えば今回は次のような基準を出すことができました。

白菜1個当たりの生産コスト

100%を収穫することはできませんので、今回は白菜なら概ねこのぐらいかなと思う数字70%を仮定します。仮に共通的な経費を20%として上乗せすると、白菜1個当たりの生産コストは、約60円/個になります。

損益分岐点

生協での白菜一つ当たりの売値(約100円)は決まっていますので、ここから損益分岐点を算出すると、収量の約57%以上が売却できれば良いことが分かります。

総労働時間と時給

総労働時間は8月から1月までの間で約70hになり、収量の57%を売却できたと仮定すると、時給は約2500円になります。

 

ということは、当初の所得目標1000万から算出した時給『2560円/h』と比較すると、白菜はまあまあの仕事かなということになりますかね。

こうしたデータが経営判断の基準になるわけですね。基準があることで、仮に何か問題があった場合でも慌てずに経営方針を修正していくことができるようになります。

長くなりましたのでこの辺で。

それでわ。

 

 

 

 

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コメント

    • 秋田
    • 2016年 12月 12日

    有機農業に関心があり、ブログを読ませていただきました。とても勉強になります。
    この記事についてご質問なのですが、計算された白菜の件ですが、売り上げ1000万、利益500万の経営をするために試算なさった適正な労務管理において、3反での総労働時間を70hと試算されたということは、白菜のみで目標収入を達成するためには、年間3900hの労働を満たす必要があり、3反×(3900/70)=約167反を経営する必要があるということになるのでしょうか??

      • dondonikouze
      • 2016年 12月 16日

      わかりにくくすいません。一反当たりの計算になります。収穫の期間にもよりますが、作業期間が約6ヶ月程度になります。

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